培養上清に起因する有害事項を認めず以下の検査項目で異常値を認めないこととしました。
評価は漸増期では毎日、維持期では投与終了後6週、12週で実施しました。
1 臨床所見
2血液学的・血液生化学的検査
3 空腹時血糖・随時血糖・HbA1c・血中インスリンレベル・血中C-peptideレベル
4 腎機能検査(クレアチニンクリアランス・尿検)
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①②④は1群、2群に実施、
③は2群のみに実施しました。
1,2群とも漸増期また維持期でもすべての評価項目でSHEDCMの投与に起因する、全身的、臨床検査上の異常値はみとめませんでした。
一方、2群の糖尿病患者ではマーカーの平均値を治療前と12週後で比較するとHbA1cは治療前8.5であったが治療後は6.8と改善しました。HOMA-R レベルは劇的に減少し治療前49.3から治療後7.1に、さらにLOX-indexは1424から663に降下しました。
(HbA1c: 検査前1~2か月の平均血糖値、6.5が基準値でそれを低下すれば改善とされる。HOMA-R:インスリン抵抗性を示す指数、正常値は2,数値が低いほどインスリン分泌がよく保たれていることを示す。 LOX-index: 糖尿病などで生じる動脈硬化の指標で脳梗塞や心筋梗塞のリスクをしめす。値が低いほどリスクがひくい)
【結論】
SHEDCMの臨床応用にむけて、安全性を確認するために以下の検査と試験が行われました。
①非感染性検査、
②非変異原性検査・非アレルギー検査、
③動物での毒性検査
④ヒトでの安全性検査
②③の検査を通じて、SHEDCMの非感染性、非変異原性、非毒性が確認されました。また
④のヒトでの安全性検査から、SHEDCMの安全性が確認され、臨床応用での初回投与量および維持投与量として、480ml/60kg/日がえられました。
これらのSHEDCMの安全性に関する検証結果をもとに、2011年に脳梗塞、2014年にアトピー性皮膚炎、2015年にアルツハイマー病、2016年にⅡ型糖尿病と関節リウマチ、2020年に乳がん・ステージIVに対して、世界で初めての培養上清治療がおこなわれました。なお2021年に筋萎縮性軸索硬化症(ALS)、間質性肺炎、糖尿病腎症の治療が予定されています。
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①②④は1群、2群に実施、
③は2群のみに実施しました。
培養上清を実際にヒトに応用した論文発表などの公式記録は、渉猟した範囲では名古屋大学のグループをのぞいてはみられません。2012年~2014年に、名古屋大学附属病院およびその関連病院において、また2015年以降は協力病院・クリニックあるいは介護施設で脳梗塞
①アルツハイマー病
②、アルツハイマー病
③、Ⅱ型糖尿病
③、歯周病
④の臨床研究が行われています。
臨床研究に先立って、マウスによる単回投与試験、ビーグル犬を用いた反復投与の毒性試験などの非臨床試験が行われ、血液検査、主要臓器の組織学的検査で安全性が確認されました。ヒトに対する初回投与量は非臨床試験をもとに、推定最小薬理作用量(MABEL : Minimum Anticipated Biological Effect Level)をもとに 設定されました。ヒト安全性については治験I相試験が健常人5名に対して行われその安全性が確認されました。