ここで紹介するデータは、2015年に中国で行われた臨床研究の結果です。残念ながら日本での自験例はまだありません。
SHEDCMは1日1回点滴靜注でSHEDCMを輸液と混和し約100mlとして投与しました。投与量は漸増期は0.04ml/kg/回から開始し、下表に
従い7日間で1ml/kg/回まで増量し、8、9,10日目に、1mg/kgを1回ずつ投与しました。体重60kgの患者のプロトコルな以下の通りです。
この投与スケジュールはわれわれの動物実験の値から算出し、十分な安全係数をみこんでヒト初回投与量を決定しています。
SHEDCMとプロトコルは日本側が提供、中国側主治医とのリモート会議をへて患者のリクルート、SHEDCMの投与、入院下での経過観察が実施されました。
SHEDCM投与後の検査が、0週、4週、8週目に行われました。
血清アルブミン、総タンパク量が計測され、さらに肝硬変の総合評価として一般的なC-Pスコア(下図)が使用されました。
C-Pスコア( Child-Pugh分類 肝硬変の重症度分類 正常値<6 )
症例1の経過を下図にしめします。
血清アルブミン値は著明に改善、C-Pスコアでは重症から軽症に改善が見られました。
また症例2ではC-Pスコアでわずかに改善がみられましたが、血清アルブミン、総タンパクは不変でした。
ここで紹介した2症例の結果は満足すべきもではありません。
今後検討すべきはSHEDCMの投与時期、投与法、投与量があります。症例数を増やしさらに検討をすすめねばなりません。
一方、症例2のように培養上清の投与量が漸増期、維持期あわせて360ml以上でも、無反応であったことは、現在市場に流通している培養
上清の価格から見て、費用対効果に無理があります。培養上清のコスト・ダウンが急がれます。
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